昨今、新型コロナウイルス感染症が世間を賑わせましたが、その際に業種によっては、外出時自粛要請の影響により業績の悪化が原因で、従業員を解雇せざるを得ない状況にもなりました。そこで、業績の悪化している間は、従業員を一旦解雇させ、後に業績が回復した場合は、その解雇した従業員を再雇用するとのこと。
なせそのようにしたのかという意図は、業績の悪化している間は、従業員を解雇せず、休業手当の支給をするよりも、解雇して雇用保険の基本手当等(俗に言う失業保険)を受給させた方が、従業員にとっては、不利にならないと判断したとしています。
会社は、従業員のことを思っておこなったことだとされるが、実際、雇用保険上の制度としてこうした運用は許されるのでしょうか。
失業の状態ですぐに働ける方とは、離職し、「就職したいという積極的な意思といつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があり積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態」にある方をいいます。
さらに雇用保険法第10条の2には、「求職者給付の支給を受ける者は、必要に応じ職業能力の開発及び向上を図りつつ、誠実かつ熱心に求職活動を行うことにより、職業に就くように努めなければならない。」と記載があります。
また、雇用保険の受給資格を有する方の定義は、現に元の会社と雇用に関する契約が完全に失効していて「積極的に求職活動をし、いつでも就職可能」な環境にある方を指します。元の会社に早期に戻ることが約束された状態では、そもそもこの受給資格を満たしていません。
ただ一度、受給資格が決定した後に、他の会社に対して求職活動を行ったが、本人の意思で元の会社に戻ったということであれば、判断は難しいでしょう。悪質な場合は、不正受給と見られる可能性もあります。上記の状況ですと、雇用保険の主旨にはそぐわないと思います。
過去に発せられた特例措置としては、2011年3月11日に発生した東日本大震災の際には、国が「災害時における雇用保険の特例措置」が取られましたが、それは特例であり、行政からの指針が表明された場合のため、通常では難しいことです。
上記の内容は、新型コロナウイルス感染症の際に、起こったことですが、現在でもこういった事象は起こりうることです。
雇用保険受給は失業中の求職活動が必須であり、活動せずに就職が約束された元いた会社以外に就職しないことが明確なのであれば、受給要件を満たしません。
つまり、偽装解雇をして雇用保険を受給後後、元の会社に戻って働けてしまう、いわゆる事実上の不正受給となり得ますので、会社側も従業員側も注意してください。
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